軍刀の拵えを修復する(その2、鞘の漆塗り)

4月20日頃に、白鞘の修復と鯉口の加工を行なった軍刀拵えの日本刀ですが、
https://kazika-koubou.at.webry.info/201904/article_10.html
その後、やはり白鞘のままではなく、漆で塗って欲しい、という依頼があり、そのまま引き続き預かって漆塗装を行なっていましたが、約25日間を掛けて漆塗装が完了しました。
全作業工程は、下地塗り3回、中塗り3回、仕上げ塗り2回で、
合計では、8回ほどの塗り・乾燥・研ぎ、を3日間サイクルで、行なったことになります。

下地塗り(下地固め)。
生漆に砥粉を交ぜたもので下地塗りを3回行ないました。
塗装の下地固めをするとともに、白鞘の木地自体が古く、細かいキズが多かったので、それらを漆を塗っては研いで潰す作業です。

下地塗りの1回目
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下地塗りの2回目
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下地塗りの3回目
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だんだんと、漆が塗り重なるにつれ、色合いが深くなっていくのが判ると思います。
私は、下地塗りの段階での研ぎには、#400~#1,000 のペーパーを使っています。

中塗り。
次に中塗りを、弁柄朱を混ぜた木地呂漆で行います。
この中塗り作業が、最も根気を要する重要な作業工程で、最後の出来栄えを左右します。

中塗りの1回目
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中塗りの2回目
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中塗りの3回目
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中塗りの段階から、研ぎには、#1,000~#2,000のクリスタル研ぎ炭と、磨きには柔らかい木炭を使っています。
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仕上げ塗り。
最後の仕上げ塗りは、木地呂漆と上朱合い漆での拭き漆で行ないました。

仕上げ塗りの1回目
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仕上げ塗りの2回目
今回は、半光沢の艶消し仕上げですので、研ぎは、柔らかい木炭を使って塗りムラを整える程度で完了です。
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吊り環を嵌めます。
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その状態で、革サックに納めます。
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革サックの吊り環を嵌める部分です。
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修理前は、鞘の太さと吊り環の太さが合っておらず、グラグラだったのもピタリと治りました。

軍刀の拵えといっても、サーベルの造作ではなく、単に日本刀に革ケースを着せ、吊り輪を装着しただけの、戦時中に俄かに改装したものですから、本質的には、日本刀の拵えです。
私としては、栗型も取り付けて、普通の日本刀の拵えに戻してみたい気持ちも湧いてきましたが、軍刀姿でも、これは亦これで歴史を物語るものですから、宜しいのかと思います。

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